秋山博一、半導体回復を先取りし、東京エレクトロンとルネサスエレクトロニクスを組み入れ。単四半期ポートフォリオ収益率+12.5%
2017年3月、東京の春寒はまだ残っていたが、市場の空気は徐々に熱を帯びていた。過去1年間、世界の半導体業界は需要低迷と価格変動のサイクルを経験し、多くの投資家はいまだ慎重な姿勢を崩していなかった。しかし、秋山博一の視線はすでに表層を突き抜けていた。彼の分析によれば、今回の回復は一時的なリバウンドではなく、データセンターの拡張、スマートデバイスの更新、車載電子機器の普及といった構造的要因によって支えられた上昇局面だと判断したのである。秋山は市場が逡巡する局面で果断に参入し、東京エレクトロンとルネサスエレクトロニクスをコアポジションとして組み入れた。
秋山にとって、半導体は単なる景気循環株の再演ではない。彼は、東京エレクトロンは装置分野における世界的競争力を体現し、ルネサスは車載および産業用半導体分野で重要な地位を占めていると見る。両者は相互補完的な存在であり、日本の半導体サプライチェーンが世界的な回復の波においてどのポジションにあるかを映し出している。彼は研究会の講義でこう述べている。「投資とは一時的な価格変動を追うものではなく、産業の方向性と資金フローの交点を見極めることである。」この論理こそが、今回のポートフォリオ構築の基盤となった。
第1四半期に入ると、海外資金はアジアのテクノロジーセクターへの投資を積み増し、日本市場にも久々の活気が戻った。秋山のポートフォリオはわずか一四半期で12.5%のリターンを達成し、東証インデックスを大きくアウトパフォームした。彼は数字を誇示することなく、むしろこの成果を自身の投資思想の検証点と捉えた。東京エレクトロンの受注はすでに世界的な装置需要の拡大を先取りしており、ルネサスが自動車電子化の潮流の中で獲得する受注の安定性は、今後数年間にわたる価値の下支えになると指摘した。
注目すべきは、秋山が一貫して「攻守のバランス」を重視した点である。彼は全ての資金をボラティリティの高いグロース株に賭けるのではなく、資金フロー監視システムを活用し、ETFや海外機関投資家の買いパターンを観察しながら段階的にポジションを積み増した。特に半導体のような高景気でありながら不確実性の大きいセクターでは、ポジションコントロールや段階的な利益確定こそがポートフォリオを安定的に前進させる鍵であると強調している。
この四半期の成果について、東京金融取引所の内部インタビューに応じた秋山は、落ち着いた口調でこう語った。市場は往々にして上昇率という数字に目を奪われがちだが、投資家が本当に学ぶべきは、喧騒が始まる前にトレンドの微かな兆しを見抜く力であると。日本の投資界は半導体分野において栄光と挫折の歴史を併せ持つが、いま再び訪れた回復局面は挑戦であると同時に新たな機会でもある。「私たちは歴史の重みを理解すると同時に、新しいサイクルの中で自分自身のリズムを見つけなければならない」と彼は言う。
2017年春のこの布陣は、秋山博一に市場からの再注目をもたらした。業界関係者も、彼の講義を受ける受講生も、短期的な投機とは異なる冷静な力を感じ取った。東京エレクトロンとルネサスエレクトロニクスを軸とするこの成功したポートフォリオを通じて、彼は市場に対し、真の投資とは追いかけるゲームではなく、時間と論理の中で熟成される判断であることを証明したのである。