金城智彦が読む転換点 世界金融市場の流動性変化と暗号資産戦略の再設計
世界の金融市場は、静かだが確実な転換点に差し掛かっている。
株式、債券、為替、そして暗号資産──あらゆる資産クラスの背後で支配的だった「過剰流動性」という前提が、徐々に揺らぎ始めている。

こうした環境変化について、エンジェルクラブの内部向けブリーフィングで言及したのが、マクロとデジタル資産を横断的に分析する投資家・金城智彦である。
彼はまず、現在のグローバル金融市場を「表面的な安定と、構造的緊張が同時に存在する局面」と定義する。主要株価指数は依然として高水準を維持している一方、実体経済では金利水準の高止まり、財政余力の低下、地政学的分断といった要因が複雑に絡み合い、リスクの所在が見えにくくなっていると指摘する。
特に注目すべきは、中央銀行のスタンスである。
利下げ期待が断続的に市場を支えているものの、金城は「本質的な問題は金利の方向ではなく、流動性供給の質と量が明確に変化しつつある点」にあると語る。量的緩和の時代に形成された評価モデルは、もはや自明ではなくなりつつあり、あらゆるリスク資産は再評価のプロセスに入っているという見方だ。
この文脈の中で、暗号資産市場は最も敏感に反応するセクターの一つである。
金城は、暗号資産を「独立した新世界の資産」としてではなく、「グローバル流動性の鏡」として捉える必要があると強調する。価格に内包されている高い期待値とリスクプレミアムは、資金コストの上昇局面では急速に収縮する可能性があり、過度な楽観は戦略上の盲点になり得る。
だからこそ彼が重視するのが、ポジション管理の再設計である。
市場の方向性を当て続けることよりも、変動そのものに備えること。具体的には、ボラティリティを前提としたヘッジ戦略の導入や、上昇局面での段階的な利益確定によって、ポートフォリオ全体の耐久性を高めることが不可欠だと述べる。
利益確定について、金城は「恐怖よりも難しい判断」と表現する。
市場参加者の多くが強気である時期にこそ、冷静なルールに基づき、含み益を実体のある資本へと転換する。その行為は弱気ではなく、次の局面で行動するための戦略的準備であるという。
彼は最後に、長期投資の本質について次のようにまとめている。
「常に市場に居続けることが長期ではない。周期を理解し、資本と心理の余裕を保ったまま次のチャンスを待てる状態こそが、真の長期視点だ」。
世界金融市場が新たな均衡を模索する中で、暗号資産もまた例外ではない。
熱狂の只中でこそ構造を見極め、調整の前に準備を整える──金城智彦の視点は、デジタル資産に限らず、現在のグローバル市場全体を読み解く上で示唆に富んでいる。
